movie-7 The Killer Inside Me
映画を観たその夜はなかなか寝付けなくて、2時間ほど会話をして、やっとこちら側に戻ってこられた。
1950年代、米国社会が繁栄を謳歌しているテキサス州の田舎、油田鉱山の町モンタナが舞台の、犯罪ドラマ。
とにかく主演のケイシー・アフレック(ルー・フォード)がとてもいい。100点満点!
彼の演技なくしてこの映画はあり得ないでしょう。ジェシカ・アルバ(娼婦ジョイスレイク)、ケイト・ハドソン(恋人エイミー・スタントン)共演。
娼婦ジョイスレイク(ジェシカ・アルバ)によって呼び覚まされた慾動。とはいいながら、彼の犯罪は暴力的な慾動ではなく、非常に計画的で、己の愛欲の果ての殺人(正に死と隣り合わせのエロチシズム)を消し去るために、綿密に計画をたて、実行に移す。この暴力的な慾動ではない暴力、という不一致が物語に陰影と深みを与え、魅力的な犯人が登場する。恐ろしさを感じながら、彼女たち(ジョイスレイク、エイミー·スタントン)と同じに、ルーを許し、許容している自分がいる。そのくらい彼の異常に魅力があるのである。
娼婦ジョイスを殴り殺してしまう暴力場面は、固唾をのんで観てしまった、と告白しておこう。顔面がくずれていく様相は、映画ならではのリアリティで、監督の映画づくりのうまさに脱帽である。また女優ジェシカ・アルバもすごい!
内容が内容だけに、アカデミー賞はむずかしいけど、完璧アクデミー賞をあげたい。
参照<Wikipediaより>
1950年半ばには、
20世紀フォックスが、マーロンブランド、
マリリン・
モンロー、エリザベス·テイラーで制作を計画したが、
1962年
8月
5日にモンローの予期せぬ死のため、プロジェクトは見送られた。
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バートケネディ版 |
1976年に、ワーナーブラザーズがバートケネディ監督で制作したが、当時不評だったらしい。
1980年代半ばの、トム·クルーズ、ブルック·シールズ、デミ·ムーアの プロジェクトも見送られた。
1990年代半ばには、 クエンティン·タランティーノ監督が、 ウーマ·サーマン、ジュリエット·ルイス、ブラッド·ピットで、この取り組みも、9・11攻撃の影響で廃棄。
2003年に、レオナルド·ディカプリオ、 シャーリーズ·セロン、ドリュー·バリモアでのプロジェクトもお流れ 。ケイシー·アフレック、リース·ウィザースプーン、マギー·ギレンホールの計画も実現ならず。
そして本編、2010年、マイケル・ウィンターボトム監督、ケイシー·アフレック、ジェシカ・アルバ、ケイト・ハドソン版である。2010年の第60回ベルリン映画祭では 、暴力の描写をめぐって大論争だったらしい。
原作のジム・トンプソンも異端の小説を書き続け、死後評価されたらしい。しかし、制作の歴史をみると、多くの映画製作者の意識をいかに喚起したかわかる。
米国の集計映画サイト
腐ったトマトでは55%で(56%以上は肯定)でなんとか合格。