2020年7月5日日曜日

蜘蛛の巣を払う女








スウェーデンの推理小説家スティーグ・ラーソンによる人気小説、シリーズ『ミレニアム』の4部『蜘蛛の巣を払う女』の2018年アメリカ版映画化 。



スティーグ・ラーソン
スティーグ・ラーソン


監督はウルグアイ生まれのフェデ・アルバレス、『死霊のはらわた』『Don’t Breathe』などホラー映画の監督さん。

主役リスベット・サランデルにクレア・フォイ、製作総指揮にデヴィッド フィンチャーも参加している。


『ミレニアム』は
ジャーナリストであったラーソンがパートナー エヴァ・ガブリエルソンと共同執筆した小説である。本国スウェーデンでの人気のみならず世界30か国で翻訳されるベストセラーである。


『ミレニアム』の
オリジナル三部作は
第1部『ドラゴン タトゥーの女』
第2部『火と戯れる女』
第3部『眠れる女と狂卓の騎士』

続編三部作は
第4部『蜘蛛の巣を払う女』
第5部『復讐の炎を吐く女』
第6部『死すべき女』



今回私が観たのは第4部『蜘蛛の巣を払う女』。

第1部『ドラゴン タトゥーの女』は2011年アメリカ版を観た。
デヴィッド フィンチャー監督、リスベットにルーニー マーラーだった。彼女に色気がないのが不満。









第3部『眠れる女と狂卓の騎士』はスウェーデン版、リスベットにスウェーデン女優ノオミ ラパス。現実的すぎて魅力に欠けた。





眠れる女と狂卓の騎士


第4部『蜘蛛の巣を払う女』はアメリカ版、リスベットにクレア・フォイ。
私は、今回観たクレア・フォイのリスベットが一番好き!映画の中のリスベットは孤独で文学の主人公だった。


リスベットにクレア・フォイ




ミカエルにスヴェリル・グドナソン


今回のミカエルは存在感がなかったけれど、スティーグ・ラーソンに一番似ている、笑。


異常者である父、ソ連KGB元工作員による虐待をトラウマに持つ過去を体現していて彼女の異常を納得出来た。この虐待の一つが最後の妹からの虐待なんだろうと想像する。性的異常者のする行為を監督は知っているんだよね。
sisterの要求も異常だよね。二人とも父親のトラウマから抜けられない、この悲劇性が第4部『蜘蛛の巣を払う女』を文学たらしめている。




ラーソンは18才から亡くなる50才までガブリエルソンと生活を共にしている。

『ミレニアム』でリスベットは、性的暴力によるトラウマを抱えて生きていることが小説のメインモチーフになっている。このモチーフはラーソン自らの目撃経験によるところが多いらしい。

彼自身は反人種差別、反極右を掲げていたため、ガブリエルソンを守るため婚姻関係を結ばなかったと伝えられているが、彼の遺言がないため、死後小説の著作権で揉めていることを考えると、彼の意志は曖昧だったとも考えられる。ラーソンが小説の発売も、成功も知ることもなく2004年に亡くなったことも不幸を助長している。