Tracing-Shirt107 by SHIMA kuniichi |
『Tracing-Shirt』シリーズ(Artist:島州一)を週ごとに着替えていたのですが、
期間をアバウトにします。もっと気まゝに、enjoy karuizawaらしく、
山は気まゝにシャツを着替える
浅間を描いているうちにそれを取り巻く空間の表現に、何もない空に何か形を与えたくなり、その結果、ブルーのシャツのイメージが生まれ、その形が直接浅間山のイメージになった。
自分がシャツを着ているところを想像すると、シャツが大きなゆったりとしたスロープをもつ浅間山の山肌で、シャツの各部分の形状が沢や谷であったり、林や畑、道路や街といった様々な表情をもっているところがシャツの表面の各部分に相当できると思った。
火口から上がる煙は生きる自分がシャツを着て活動している形になぞらえることが出来ると思った。
浅間の斜面をトレースする代わりに自分のシャツを直接トレースすることが始まった。トレースする時、自分の肩や胸が連山の斜面だと思って小人になったつもりでシャツの部分を忠実にトレースして行く。
山の自然は一瞬たりとも同じでないように、毎日描くシャツも変わる。すると、自分が着て見慣れたシャツも「これが自分のあのシャツか!」と驚くほど新鮮な発見があった。
紙に写しとられたシャツは水性絵具に替わる。シャツという色のついた布地が彩られた紙に替わる。まるで地図を描くような気持ちでシャツという山の端々までくまなくトレースする。
奥行きを削ぎ取られた画面の上をあちこち視線を走らせるしかなく、紙上の旅人となり広がりの中で、トレースで失われた広がりを新たに獲得する。
島州一「山はいつもシャツを着替える」より抜粋
Tracing-Shirtを制作の図 |
Tracing-Shirtの制作は、先ず原寸大にトレースされたシャツの図を転写し、そこに実際のシャツを見ながら水彩で彩色するというシステムである。