2012年4月8日日曜日

ジェシー ジェームズの暗殺

movie-8 ジェシー ジェームズの暗殺




 過日、『The Killer inside Me』で主演したケーシー アフレック Casey Affleck が助演していると知り、『ジェシー ジェームズの暗殺』(原題The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Fordを観た。2007米国映画。

 ロン ハンセン原作の19世紀のアメリカに名をとどろかせた犯罪者ジェシー ジェームズの暗殺前後の小説を下敷きにしているらしい。これまた、素晴らしく見応えのある映画だった。
 アメリカ南北戦争当時の1800年代が舞台の西部劇ドラマである。西部劇より心理劇ドラマに力点がおかれていて、見応え充分だった。



 前半はジェシー が暗殺されるまでの強盗団の生活ぶり、特に、彼を裏切り暗殺することになる、彼の信奉者であるボブ フォードとの心理的葛藤に力点が置かれている。人を信ずることのギリギリのせめぎ合いの中で、仲間が信じられなくなるジェシーの心の葛藤と、ボブ フォードの思惑の交錯は、まるでベルイマンの心理劇を観るようであった。

Jesse James

Bob Ford


 後半のジェシー を暗殺した後の、フォード兄弟の信じられない行状!伝説の盗賊ジェシー の暗殺サクセスストーリーを、芝居仕立てにして、紳士淑女の喝采を受け、社交界におどり出て行くくだり。成功の後に、市井の市民からは裏切り者として社会から排除され、ついにはボブ フォードが、ジェシーの兄フランク ジェシーに暗殺されるまでを、息つくひまなく展開させていく後半のストーリ。





 前半と後半の映画はまるで、水と油のようであるが、これが違和感なく、まとまっていることにホント感動である。

 こんな破天荒なストーリ展開があるのかとビックリするけれど、1866年2月13日にジェシー ジェームズが世界初の銀行強盗に成功したことから、2月13日は「銀行強盗の日」となっているアメリカならば本当にあったかもしれないとつい思ってしまった次第である。

 それにしても、ジェシー ジェームズ役のブラッド ピット、彼を再認識してしまった。チョッと野卑で、カリスマ的で、愛情深く非情なジェシー ジェームズ像をよく構築していると思う。
 さて、熱烈ファンを自称する、ケーシー アフレック。やはり100点満点!
なぜこんなにも心のひだを演じることができるのですか、貴方は?
 甘く切ない未成熟から一気に狂気へと変身する術は天賦のものでしょう。
ブラッド ピットはヴェネチア国際映画祭で主演男優賞に、ケーシー アフレックはこの演技で数々の助演男優賞に輝いている。